クラシカルフレーズ
異説 浦島太郎

浦島:さてと、天気もいいし釣りでもするかな。って、ん?なんだあれ?
   あ、子供達が亀をいじめてるじゃないか、こらこら止めなさい。
   止めたらこの『こん平師匠が山田君に突き落とされる瞬間』
   のプロマイド写真あげるから
   ・・ふぅ、行ったな。大丈夫か?

 亀:ちっ・・ありがとよ。・・・ちくしょう、はめられた・・・・!
 
浦島:はめられたって誰にだよ、ってかなんで助けてやったのに
   そんな憮然とした態度なんだよ

 亀:・・・乗れよ

浦島:えっ?

 亀:お礼に竜宮城連れてやっから乗れってんだよ!

浦島:ずいぶんふてぶてしい亀だな、まあいいか。じゃあお言葉に甘えて

 

 亀:ついたぜ、降りろ

浦島:ここが竜宮城か、んじゃお邪魔しまーす

(ギィィィィィィ)

乙姫:はいいらっしゃーい!

浦島:あ、どうも

乙姫:私がここの主人の乙姫です。なんか亀助けていただいたみたいでどうも
   ありがとね、お礼と言っちゃなんだけどごちそう用意してるから
   ジャンジャンバリバリ食べちゃって!

浦島:ジャンジャンバリバリてパチンコ屋じゃ無いんですから、でもいいんですか?
すいませんねぇ

乙姫:あ、お食事の前にちょっとした余興はどうかしら?

浦島:余興ですか?

乙姫:鯛やヒラメの舞い踊り、見たくない?

浦島:お!いいですねぇ!ぜひ見せてくださいよ

乙姫:んじゃあ、いくわよ!ダンシングミュージックスタートっ!

(♪チャンチャン カステラ一番電話は2番3時のおやつは)

浦島:文明堂!?ってかなんでラインダンスなんだよ!

乙姫:はい、ちょっとストップ!ちょっとそこのヒラメ!あんたよあんた!

浦島:しかも駄目だし始まったよ、客の前なのに

乙姫:今あんただけヒレの上がりが悪かったわよ!
   そのヒレは飾り!?なんのためについてんのよ!

浦島:泳ぐためだろ!少なくともラインダンスのためでは無いだろうよ!

乙姫:こんなん出来で本番いけると思ってるの!?

浦島:本番今じゃないのかよ!!何大会が控えてるんだよ!

乙姫:こんなんじゃ今日は何回やっても駄目ね!次までに各自練習
   しておくこと!解散!・・・・あ、すいません。あなたのこと
   すっかり忘れてました

浦島:俺置いてきぼりか!まあ、別にいいですけど

乙姫:まあ、気を取り直してお食事でも。すぐ準備しますんで

浦島:いったいどんなごちそうが出てくるのかな

乙姫:お待たせしました。まずは「ヒラメのお刺身」です

浦島:ちょっと待て!これさっき駄目だしされてたヒラメじゃねえの?!
   ちょ・・えぇ・・!?

乙姫:さあ、新鮮なうちに召し上がれ

浦島:召し上がれねえよ!っていうか今横見たらこいつの葬儀が
   しめやかに行われてるじゃねえかよ!線香上げてる横で故人
   いや故魚を食えってか、いたたまれねえよ!

乙姫:あなたに美味しく食べていただくことがこの子の供養に
   なるのですよ

浦島:あんたがやったくせに何ちゅう言いぐさだよ!なんだ、『火葬』ならぬ
   『食葬』か!遺族親族友魚恋魚が見守る中涙のお見送りってか!
    そんなん出来るわけねえだろ!

乙姫:でもここで普通の火葬にしても結局はただの
  『焼き魚』になるだけですから変わりませんよ?

浦島:あんたも大概ひどいな!そりゃそうだけど身も蓋もないこと
   さらっと言うなよ!

乙姫:では他の料理にします?

浦島:もういいですよ!犠牲者増えるだけですから。もう帰りますよ

乙姫:んじゃあせめてこの玉手箱をおみやげに

浦島:ああ、せっかくだからもらっていきます、じゃあとりあえず
   お世話になりました。もう2度と来る気はありませんけど

乙姫:それはどうかしらねぇ。まあいいわ、じゃあね
 
 亀:準備できたか?じゃあさっさと乗れ!


 
 亀:ほら、ついたぜ!んじゃあな!

浦島:ふう、やれやれ、・・・・しっかし乙姫のあの最後の言葉は
   なんだったんだ。まあいいや。とりあえずこのおみやげにもらった
   箱開けてみっか、何が入ってるのかな

(パカッ・・・・・ボワン・・・・もくもくもくもく・・)

浦島:げほっ!げほっ!なんだよこの煙!・・・・・ふう、収まった・・・
   いったい何だったんだよ・・・・ん?なんかおかしいな。体が
   やけに重い・・・あれ?何この手・・・ヒレじゃんそれに
   この甲羅・・・・・これ亀じゃん!なんで俺亀になってんの!?
   えっ!ちょ・・・はめられた!